日米のスピードボールに対する考え方

セイバーメトリクス入門〜アメリカ生まれの野球数理学

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日米のスピードボールに対する考え方

人間の主観と実際のデータの相違について引き続き話します。

 

こんどは人間の主観の方が実戦において価値があるというケースです。
セイバーメトリクスの否定する主観が優位な例ですね。

 

それはスピードボールに対する評価です。

 

 

スピードガンが出現してから、スピードボールの価値は、
スピードガンが計時する数値ということになっています。

 

スピードガンが出始めのころですが、巨人では、角投手が抑えとして、
活躍していました。

 

 

非常に奪三振の多かった投手で、日米野球でメジャーリーガーから
三振を奪いまくっていた記憶もあります。

 

 

当然、相当なスピードボールと思っていたわけですが、
スピードガンの計測が普及しはじめると、
彼のスピードボールはせいぜい130km/h前半の速度しか出ないのです。

 

 

角投手は、なぜかスピードガンが普及しはじめると同時に、
打たれだしていましたが、抑えていたときと速度が劇的に変わった、
ということはなように見えましたが。

 

 

現在のプロ野球でも、スピードガン計時では評価できないスピードボールを投げる投手がいます。
ソフトバンクの和田投手や、ロッテの成瀬投手などです。

 

彼らは140km/hそこそこの計時速度のスピードでどんどん空振りを、奪います。
見た目も速く感じます。

 

 

このあたりが、アメリカ人には不思議みたいなのです。
元日ハムのヒルマン監督は、和田のストレートを、「88マイルの剛速球」だといっていました。

 

この点では、アメリカ人の方が機械が出す数字を信じてしまう傾向が、
強いということでしょうか。

 

 

このスピードガンの計時する数値と、人間の体感速度との差は、なにが原因でしょうか。

 

そもそも、スピードガンは電波による計測で物体の、移動速度を計測するものです。
球場によって設置する角度が異なるため、補正する値をそれぞれに設定します。

 

それが球場によって数値の出やすい、出にくいといった、差になるといわれています。

 

 

もの凄く当たり前の話ですが、人間の目は電波を出しません。
だから電波で速度を計れません。

 

人間が物体の速度を計るのは、「オプティカルフロー」という仕組みといわれています。

 

 

要するに、近くにあれば大きく見える。遠くにあれば小さく見える。
単位時間あたりの、物の見え方の変化を脳みそが計算するわけです。

 

 

そして、人間は目玉でそれを追いかけるために、
リリースの瞬間のタイミングを把握することが大事になるわけです。

 

このため、最近は「周辺視」という能力が注目されたりしています。

 

 

単純な話ですが、ボールが「投手の手を離れた」という瞬間の打者の、
判断を0.05秒遅らせることができるならば、
そのボールは135km/hの速度でも体感的には、
150km/hに相当するものになります。

 

スピードボールの武器は打者が軌道を見極めるまでの時間が短い、
という点にあるのです。

 

 

その時間が削られたら、それは、
物理的な速度が遅くても、タイミングを合わせる難易度は、
150km/hと同じになるのです。

 

 

実際のところ、スピードボールの評価については、まだまだこれから、
というところではないかと思われます。

 

現在、体感速度と計時速度の、
差について研究している大学の先生もいます。

 

 

ただ言えることは、電波が物理的に計測した速度よりも、
打者が感じる体感速度(主観の速度)の方が野球では重要だという点です。

 

スピードガンはバットを持てませんから。

 

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